肩のインナーマッスル:腕の挙上1

首に近い部分から始まって、鎖骨の下をくぐりぬけるようにして上腕の骨にくっ付いているのが、棘上筋(きょくじょうきん)というインナーマッスルです。

今回ご紹介するトレーニング法「スプラスピナータ」では、この棘上筋を鍛えることになります。

棘上筋の構造と働き

まずは左の図を見てください。
棘上筋は骨の間を縫うようにして、肩甲骨から上腕の骨の上につながっている筋肉です。

棘上筋の構造と働き※機能解剖学ソフトウェア「解体演書」の画像を加工して使用しています。

次に右の図をご覧下さい。オレンジの矢印が筋肉の収縮する方向です。
(肩甲骨の一部を半透明にして表示しています。)
棘上筋が収縮すると、上腕骨が肩の骨の方に引っ張られて上に上がる力が生まれることが分かるでしょう。

スプラスピナータ

それではトレーニングの方法を説明します。

「スプラスピナータ」というのは、トレーニング動作を表しているわけではなく、単に棘上筋の英語名「supraspinatus」のカタカナ読みです。

STEP1

まず背筋を伸ばし、足を肩幅程度に開いた直立姿勢をとったら、肩を鍛える側の腕で、チューブのグリップ握ります。

さらに右下の写真のように鍛える肩と逆側の足で、トレーニングチューブを踏んで固定しましょう。

スプラスピナータ ステップ1

踏んだ位置からグリップまでのチューブの長さが短くなるほど負荷が強くなるので、筋力に合わせて調節して下さい。

STEP2

準備ができたら、チューブを握った方の腕を体の真横よりやや前方に向かって上げていきます。

このとき写真のように腕全体を少しだけ内側に回転させて、写真のようにグリップを握った手の小指をやや前方に突き出すようにして下さい。

スプラスピナータ ステップ2

ただし、腕を上げる高さは下の写真の角度、約30度くらいまでにしておく事が重要です。

その後はゆっくり腕を下ろして、一度肩の力を抜いてからまた腕を上げるというように動作を繰り返します。

この種目を行う上での注意点

スプラスピナータを行うに当っての注意点は以下の通りです。

なお、初めてインナーマッスルのトレーニングを行う方は、「インナーマッスル基礎知識」「トレーニングの前に」のコンテンツを必ずご覧下さい。

動作の速度について

引っ張る時はスッと一息で、戻す時はややゆっくり戻します。

動作速度のイメージ

時間で言うと、力を入れる時は0.5秒くらい、戻す時は1秒くらいになると思います。
厳密に時間を測る必要はありませんが、1回の動作を1秒~1.5秒くらいで行うことを目安としてみてください。

動作の範囲について

スプラスピナータは、腕を上げる時の姿勢や角度がとても重要な種目です。
腕を上げて行く方向は、体の真横に対して約30度、腕を上げる高さも垂直に対して約30度を目安としてください。

棘上筋にに負荷がかかる範囲

特に腕を高く上げすぎると、負荷が三角筋にかかり、インナーマッスルのトレーニングではなくなってしまいます。

また、力んで体が左右に傾いたり、肩が上がってしまわないように注意してください。

セットの途中で力を抜くこと

普通の筋力トレーニングでは「セットの途中で筋肉を休ませてはいけない」というのが基本です。

しかし、スプラスピナータを行う場合は棘上筋に負荷がかかり続けると、三角筋が運動に参加しやすくなってしまうのです。

だから、一回ごとに腕を下ろして一度肩をリラックスさせてから次の動作に移るようにしましょう。

負荷の強さとセット数

20~30回でほどよい疲労を感じるようにチューブの長さ(張り)を調節して下さい。標準的なセット数は2~3セットです。

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