肩のインナーマッスル:腕の挙上5
注)このページの筋肉についての解説は「肩のインナーマッスル:腕の挙上1」と同じです。
首に近い部分から始まって、鎖骨の下をくぐりぬけるようにして上腕の骨にくっ付いているのが、棘上筋(きょくじょうきん)というインナーマッスルです。
今回ご紹介するトレーニング法「ライイング・ショルダーレイズ」では、この棘上筋を鍛えることになります。
棘上筋の構造と働き
まずは左の図を見てください。
棘上筋は骨の間を縫うようにして、肩甲骨から上腕の骨の上につながっている筋肉です。
※機能解剖学ソフトウェア「解体演書」の画像を加工して使用しています。
次に右の図をご覧下さい。オレンジの矢印が筋肉の収縮する方向です。
(肩甲骨の一部を半透明にして表示しています。)
棘上筋が収縮すると、上腕骨が肩の骨の方に引っ張られて上に上がる力が生まれることが分かるでしょう。
ライイング・ショルダーレイズ
「ライイング」というのは寝転がった状態のこと、「ショルダーレイズ」というのは肩を動かしてウェイトを持ち上げる動作を表しています。
鍛えられる筋肉は「肩のインナーマッスル:腕の挙上1」で紹介した「スプラスピナータ」とほぼ同じですが、トレーニングチューブが不要で狭いスペースでも行う事ができます。
STEP1
まず、ベンチや床に敷いたマットの上など、安定した場所に横向けに寝転がります。
そして肩を鍛えたい方の腕でウェイトを握りましょう。この状態では肩の筋肉には力を入れずにリラックスさせておきます。
このとき、ウェイトを握った手をまっすぐ伸ばし、小指側を上(天井の方向)に向けておく事が重要です。
写真ではダンベルなどにセットするプレートをそのまま握っていますが、小さなダンベルなどがあればそれを使った方がやりやすいかもしれません。
STEP2
準備ができたら、腕をまっすぐ伸ばしたまま、ウェイトを体に沿って自分の肩よりも少し高い位置まで持ち上げ、そのままの姿勢を2~3秒ほどキープします。
このときに重要なのは、ウェイトを握った手の小指側を常に上に向けておくということです。
2~3秒ガマンしたらウェイトをゆっくりと下ろし、STEP1の姿勢に戻って肩の筋肉をリラックスさせてからまた腕を上げる・・・というふうに動作を繰り返します。
この種目を行う上での注意点
ライイング・ショルダーレイズを行うに当っての注意点は以下の通りです。
なお、初めてインナーマッスルのトレーニングを行う方は、「インナーマッスル基礎知識」・「トレーニングの前に」のコンテンツを必ずご覧下さい。
動作の範囲について
ライイングショルダーレイズは、「スプラスピナータ」と同様に腕を上げる時の姿勢や角度がとても重要な種目です。
腕を上げて行く方向は体のやや前方(約30度)、腕を上げる高さも垂直に対して約30度を限度としてください。
特に腕を高く上げすぎると、三角筋の筋力を使うことになってしまい、インナーマッスルのトレーニング効果が出にくくなってしまいます。
セットの途中で力を抜くこと
普通の筋力トレーニングでは「セットの途中で筋肉を休ませてはいけない」というのが基本です。
しかし、ライイングショルダーレイズを行う場合は棘上筋に負荷がかかり続けると、三角筋が運動に参加しやすくなってしまう可能性があります。
だから、一回ごとに腕を下ろして一度肩をリラックスさせてから次の動作に移るようにしましょう。
負荷の強さとセット数
20~30回でほどよい疲労を感じるようにウェイトの重さをを調節して下さい。
ウェイトを持つと肩がどうしても疲れてしまう・・・という人は、自分の腕の重さだけでトレーニングを始めても十分効果があります。
標準的なセット数は2~3セットです。
(管理人へのご連絡は不要です)