腹部のインナーマッスル:腹式呼吸1
普通の筋力トレーニングで鍛えている腹筋よりもさらにお腹の深いところにあるのが、腹横筋・多裂筋・横隔膜・骨盤底筋群という名前のインナーマッスルです。
運動する時に意識する事はあまり無いかもしれませんが、胴体を支える重要な筋肉なので、ぜひ鍛えておきましょう。
今回ご紹介するトレーニング法「アブドミナル・スクイーズ」では、腹部のインナーマッスルを鍛えることになります。
腹部インナーマッスルの構造と働き
腹部のインナーマッスルは数が多いので、1つずつ解説しましょう。
腹横筋
※機能解剖学ソフトウェア「解体演書」の画像を加工して使用しています。
まずは腹横筋(ふくおうきん)。これはお腹をコルセットや腹巻きのようにお腹をぐるりと巻いた筒状の形をしています。
(上の図では背骨が見えるように、左側上部の腹横筋を切り取った状態で表示しています。)
多裂筋
多裂筋(たれつきん)は背骨の横の突起から、さらに上の背骨へとつながっている筋肉です。
体をねじる運動を助けたり、背骨を安定させる役割を果たしています。
横隔膜
横隔膜(おうかくまく)は呼吸をコントロールする筋肉としておなじみです。腹横筋でできた「筒状の構造」の上をふさぐように存在しています。
骨盤底筋群
骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)は骨盤の底にある細かい筋肉の総称です。
肛門周囲にあり、腹横筋でできた「筒状の構造」を下から支える役割を果たしています。
上記の4つの筋肉がお腹の中で大きな風船のような構造を作り、呼吸をしたり運動を行う時に人体の胴体部分を安定させているのです。
アブドミナル・スクイーズ
それではトレーニングの方法を説明しましょう。
アブドミナル・スクイーズは腹式呼吸でお腹を動かすことによって、腹部のインナーマッスルを総合的に鍛える筋力トレーニング種目です。
STEP1
まず写真のように床に仰向けに寝てください。
ヒザは曲げて、腹部の筋肉をリラックスさせておきましょう。
準備ができたら、おヘソから下腹にかけての部分に空気を送り込むことをイメージして、鼻からゆっくりと息を吸い込みます。
STEP2
次に、お腹に入った空気をしぼり出すように口から息を吐き切ります。
このとき、腹直筋に力を入れてお腹を凹まさないように注意してください。
しっかり息を吐いたら、STEP1と同じようにまた息を吸って・・・と繰り返します。
腹式呼吸が上手く意識できない人は、お腹に軽く手を添えて行ってみるといいでしょう。
この種目を行う上での注意点
アブドミナル・スクイーズを行うに当っての注意点は以下の通りです。
なお、初めてインナーマッスルのトレーニングを行う方は、「インナーマッスル基礎知識」・「トレーニングの前に」のコンテンツを必ずご覧下さい。
余計な部分に力を入れない
息を吸い込んでお腹を膨らませたり息を吐いてお腹を凹ませる時に、力んで体を反ったりしないように気をつけて下さい。
リラックスした状態で自然に呼吸する事が大切です。
筋力トレーニングという割に「ただ呼吸しているだけ」という感が強いアブドミナル・スクイーズですが、
呼吸するだけのトレーニング?
これが呼吸の筋肉を鍛えるための基本なのです。
インナーマッスルの筋トレに高負荷や強い疲労感はいらないということをくれぐれもお忘れなく。
負荷の強さとセット数
20~30回が目標回数で、標準的なセット数は2~3セットです。
ただし、息苦しさを感じるような時は、無理をして連続で行わないようにして下さい。
(管理人へのご連絡は不要です)