腕のインナーマッスル:外回転1

肘から先の部分(前腕)を体の外側に向かって回転(回外)させる働きをしているのが回外筋というインナーマッスルです。

今回ご紹介するトレーニング法「ダンベル・スピネーション」では、この回外筋を鍛えることになります。

回外筋の構造と働き

回外筋は、上腕の骨である上腕骨と、尺骨、橈骨という計3つの骨をつないでいる筋肉です。

形としては前腕から橈骨の下をくぐるようにして尺骨にくっついています。

回外筋の構造と働き※機能解剖学ソフトウェア「解体演書」の画像を加工して使用しています。

次に右の図をご覧下さい。
オレンジの矢印が筋肉の収縮する方向です。

回外筋が収縮すると、腕の小指側にある尺骨が引き寄せるように引っ張られ、前腕が外側に回転する力が生まれることが分かるでしょう。

右腕なら前腕が時計回り、左腕なら反時計回りの方向に回転するということですね。

ダンベル・スピネーション

それではトレーニングの方法を説明しましょう。

ダンベル・スピネーションは、ダンベルを持った状態で腕を回外(スピネーション)させる腕のインナーマッスルの筋力トレーニング種目です。

STEP1

ベンチや椅子など、安定した台に両腕を乗せ、肘の角度が約90度くらいになるように曲げます。

ダンベル・スピネーション ステップ1

鍛える方の腕でダンベルを持って、写真の様に手の甲を上にしてダンベルの軸が床と水平になるようにしましょう。

反対側の手を肘に添えて、ダンベルを持った方の肘が動かないようにしっかりと固定しておきます。

STEP2

次に、前腕の筋力でダンベルをぐるんと体の外側に向かって回転(回外)させて、ダンベルの軸が床と垂直になるようにします。

ダンベル・スピネーション ステップ2

念のために書いておきますと、右手なら自分から見て時計回りに、左手なら反時計回りに回転させるということです。

ダンベルが縦になったらまたゆっくりと外側に回転させ、あとはSTEP1~2の繰り返しになります。

この種目を行う上での注意点

ダンベル・スピネーションを行うに当っての注意点は以下の通りです。

なお、初めてインナーマッスルのトレーニングを行う方は、「インナーマッスル基礎知識」「トレーニングの前に」のコンテンツを必ずご覧下さい。

動作の速度について

厳密に動作の速度をコントロールする必要はありませんが、腕を外側に回転させる動作に1秒程度、ダンベルを戻す動作に1.5秒程度、動作全体を通してだいたい2~3秒くらいかけて行うと、回外筋が収縮している感覚をしっかりつかめると思います。

ダンベル・スピネーションと動作の速度

ダンベルを回転させるスピードが速すぎると、ダンベルが回転する力にブレーキをかける筋肉(この場合は円回内筋)の方が使われてしまうので注意してください。

動作の範囲について

前腕を回転させる範囲は十分に大きく取るのが理想的ですが、たとえばSTEP1の姿勢だと腕に痛みがあるようなら無理をしてダンベルを床と水平の状態にしなくても構いません。

スポーツ障害などのリハビリなど目的として行う人や体があまり柔らかくないという人は、狭い範囲でスタートして、徐々にダンベルを大きく回転させるようにしていくといいでしょう。

負荷の強さとセット数

20~30回でほどよい疲労を感じるようにダンベルの重さを調節して下さい。
標準的なセット数は2~3セットです。

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